
職場の人間関係、上司が嫌い、同僚とうまくいかない…
で転職していいのか?
職場の人間関係、特に上司との関係が良好かどうかは仕事の成果を左右しかねません。人間関係に悩んで転職する人も多いのが実情ですが、「そんなことを理由に転職していいのか?」と迷う人のために考えを整理するポイントを紹介します。
仕事や職場の人間関係に多くの人が悩んでいる
離職理由の上位に「人間関係がよくなかった」
独立行政法人 労働政策研究・研修機構の調査で「初めての正社員勤務先を離職した理由」を尋ねています。「人間関係がよくなかった」を挙げた人は、勤続期間が「1年以内」の男性の26.9%、女性の39.4%に上っています。勤続期間が長くなると人間関係を理由とする割合が減る傾向にはありますが、5年以内の若手では男女とも2割以上が「人間関係がよくなかった」を理由に離職しています。
離職の理由(男女別)
男性 | 勤続時間 | |||
---|---|---|---|---|
〜1年 | 1〜3年 | 3〜5年 | 5年〜 | |
労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった | 31.2% | 28.0% | 28.9% | 29.3% |
賃金の条件がよくなかった | 22.6% | 28.5% | 31.2% | 32.4% |
キャリアアップ | 17.6% | 26.2% | 32.1% | 36.7% |
肉体的・精神的に健康を損ねた | 29.7% | 24.2% | 26.1% | 23.4% |
人間関係がよくなかった | 26.9% | 26.7% | 20.6% | 22.3% |
会社に将来性がない | 19.0% | 23.7% | 28.0% | 31.4% |
自分がやりたい仕事とは異なる内容だった | 26.9% | 25.4% | 16.1% | 17.0% |
仕事が上手くできず自信を失った | 25.8% | 20.1% | 18.3% | 13.3% |
希望する条件により合った仕事が他に見つかった | 15.8% | 13.5% | 22.9% | 26.6% |
結婚・出産のため | 0.0% | 4.8% | 3.2% | 6.9% |
女性 | 勤続時間 | |||
---|---|---|---|---|
〜1年 | 1〜3年 | 3〜5年 | 5年〜 | |
労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった | 38.1% | 27.4% | 22.7% | 19.4% |
賃金の条件がよくなかった | 24.5% | 24.1% | 20.3% | 16.3% |
キャリアアップ | 9.6% | 15.8% | 16.1% | 9.9% |
肉体的・精神的に健康を損ねた | 36.1% | 28.6% | 24.8% | 17.5% |
人間関係がよくなかった | 39.4% | 24.4% | 23.6% | 16.3% |
会社に将来性がない | 11.8% | 14.6% | 15.8% | 17.2% |
自分がやりたい仕事とは異なる内容だった | 27.2% | 20.8% | 16.4% | 11.8% |
仕事が上手くできず自信を失った | 31.5% | 13.8% | 14.0% | 9.1% |
希望する条件により合った仕事が他に見つかった | 12.9% | 15.0% | 11.6% | 9.9% |
結婚・出産のため | 15.6% | 26.7% | 39.4% | 58.9% |
出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構 『資料シリーズ No.221 若年者の離職状況と離職後のキャリア形成Ⅱ(第2回若者の能力開発と職場への定着に関する調査 ヒアリング調査)』
転職につながりやすい不満と一般的に抱きやすい不満
立教大学経営学部の中原淳教授とパーソル総合研究所が行った調査をもとに、「一般的に抱きやすい不満」と「転職につながりやすい不満」の上位10位が書籍『転職学』のなかで紹介されています。
「一般的に抱きやすい不満」では、給与・昇進・休暇といった評価や働き方に関する不満が上位になっています。これに対して「転職につながりやすい不満」には、「直属の上司からのハラスメントがある」「メンバー間でハラスメントがある」「直属の上司の態度が高圧的だ」が1位~3位にあがり、何らかの人間関係が転職のきっかけになりやすいことを示しています。
一般的に抱きやすい不満
順位 | 重視する項目 |
---|---|
1位 | 給与・報酬が低い |
2位 | 給与・報酬が上がらない |
3位 | 休暇がとりにくい |
4位 | 昇進・昇格しない |
5位 | 仕事をしていて成長を感じない |
6位 | 育成・教育の体制が十分でない |
7位 | 直属の上司が頼りにならない |
8位 | 仕事内容に飽きてきた |
9位 | 受けている評価に納得できない |
10位 | メンバー間で仲が悪い人がいる |
転職につながりやすい不満
順位 | 重視する項目 |
---|---|
1位 | 直属の上司からのハラスメントがある |
2位 | メンバー間でハラスメントがある |
3位 | 直属の上司の態度が高圧的だ |
4位 | サービス残業が多い |
5位 | 組織全体の雰囲気が悪い |
6位 | やりたい仕事やアイデアがあるが、実現できない |
7位 | 直属の上司が信頼できない |
8位 | 労働時間が長い |
9位 | 他のメンバーの考え方についていけない |
10位 | 直属の上司の指示や考えに納得できない |
出典:『転職学』(中原淳、小林祐児 KADOKAWA)
上司や職場との人間関係に「満足」と答えた人は半数程度
Q.働く上でどのようなことに満足していますか?
- 職場の人間関係について満足56.0%
- 直属上司について満足49.2%
出典:パーソル総合研究所 「働く10,000人の就業・成長定点調査」(2021年)
パーソル総合研究所の調査で「働く上でどのようなことに満足していますか?」という設問に対して、「職場の人間関係」「直属上司」に満足と回答しているのはそれぞれ半数ほどです。
こうしたデータからも、職場の人間関係の悩みは普遍的なことだと分かります。
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職場の人間関係に対する悩みの解消方法
人間関係を悪化させないポイント
上司や同僚との人間関係を急に改善させる方法は難しいですが、悪化させないためのポイントはありそうです。

- ◆仕事上の関係なので「好き」になる必要はないと割り切る
- ◆仕事の成果にフォーカス
- ◆仕事で成果を出すには何が必要かに絞ってコミュニケーションする
- ◆クローズドクエスチョンでコミュニケーションを最低限にする
- ◆あいさつ、「ありがとうございます」「申し訳ありません」は積極的に伝える
上司との関係性の裏にある自分の本音に気づく
「上司との人間関係悪化」は多くの人が抱える悩みです。しかし、本当は給与や評価方法、会社のカルチャーに対する不満を感じていたところに、上司の態度や言葉によって、不満の矛先が上司に向いている可能性もあります。「上司がイヤだ」という気持ちの裏に、本当の不満の理由があるかもしれません。
提案の形で意見してみる
自分個人の感情の問題ではなく、チームや部署のミッションにも影響がありそうだと感じる場合は提案の形で意見をすることも考えられます。上司であれば「部門間の調整をしてほしい」「目標設定や評価を合理的にしてほしい」など、同僚であれば「業務改善のためにこの点に協力してほしい」など、あくまで組織の成果のために提案することが大切です。
転職して環境を変える
人間関係の悩みを解消するために転職で環境をリセットするのも選択肢のひとつです。しかし当然ながら転職してもそこには新しい人間関係が発生します。今と違って人間関係に煩わされない環境だったらどんな働き方をしたいのかを整理しておく必要があります。
職場の人間関係が改善される可能性を判断
人間関係に限らず、いま抱えている不満は、悩みの大きさと変化の見込みによって対策が変わってきます。例えば「業務が忙しすぎる」という不満でも、1年限定のプロジェクトなら我慢のメドが立ちます。上司や同僚に対する不満の場合、その人間関係には変化の可能性があるのでしょうか。
職場の人間関係が改善される可能性
職場の人間関係に変化が訪れるきっかけとしては、次のようなことが考えられます。

- ◆組織の改編が定期的にある
- ◆定期異動やジョブローテーションがある
- ◆新卒採用や中途採用で新しいメンバーが増える
- ◆自分から異動の要望をあげる仕組みがある
- ◆部門を横断するプロジェクトに参加する機会がある
職場の人間関係が改善される可能性がないなら転職を視野にいれる
反対に、次のようなケースに当てはまる場合は人間関係の改善が期待できないかもしれません。

- ◆定期的な異動やジョブローテーションがない
- ◆不定期の人事異動もない
- ◆多様性がなく、異動があっても同じタイプの人が上司になる可能性が高い
- ◆組織運営や評価制度に共通の方針や合理性がなく、上司の主観に任されてしまう
このようなケースでは自分一人の努力や我慢ではどうにもなりません。転職すると決めていなくても、ひとまず転職活動をしてみるのも打開策のひとつです。転職活動を通して他社の評価制度や条件などを知ることで、「もう少し現職にとどまろう」「やはり転職したほうがいい」という判断材料になります。
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人間関係の悪化を理由に転職活動をするときのポイント
自分が仕事に求めているものを分解・整理・言語化する
転職のきっかけが上司や同僚との人間関係であったとしても、転職を通して何を実現させたいのかを分解・整理・言語化するのが転職活動のスタートです。「自分にとって何が一番大事なのか」「働く上での心の支えが何なのか」をしっかり深掘りしてください。
転職先にもまた別の人間関係があります。自分が大事にしたいことや心の支えが明確になっていれば、人間関係の優先度を下げられるでしょう。
転職理由を肯定的に言い換える
職場の人間関係を理由に転職活動をする場合、肯定的に考えるようにすると志望動機などが考えやすくなります。「上司が嫌いで転職したい」とストレートに言っては選考を通りづらいでしょう。だからといって、無理に前向きなことを話しても不整合がでてしまいます。
ポイントは「人」ではなく「考え方」にフォーカスすることです。「上司の〇〇〇という考え方が納得できなかった。自分は△△△な姿勢で働きたい」といった具合です。
肯定的に言い換える例
- 「人間関係がつらい」「本当は○○のような働き方をしたい」
- 「上司が合わない」
「上司の○○のような考え方が合わない」 - 「上司の評価が間違っている」「上司の評価をきっかけに会社の評価制度の矛盾に気がついた」
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人間関係や上司を理由に転職していいのか悩んだら
人間関係(特に上司)を理由に転職を考える人は多いのですが、「人間関係ぐらいで辞めていいのか」と悩む人もいます。仕事自体は好きだったり同僚との関係が良かったりすると「人間関係が改善されるなら辞めたくはない」という人も多いでしょう。人間関係の不満が何に起因しているのかが分からず、転職で解決するのか不安で行動に移れない人もいます。
こうした職場の人間関係にまつわる転職の悩みは、キャリアアドバイザーに相談することをおすすめします。転職するかどうか決めていない状況でももちろんOKです。キャリアアドバイザーという第三者とフラットに対話することで、悩みの本質が何なのか、本当はどうしたいのかが自然と整理されます。自分で自分の気持ちに気づいた上でなら、会社に残ることも転職することも自信を持って選択できるでしょう。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー

梅原 梓(うめばら・あずさ)
人材協認定人材紹介コンサルタント
【経歴】
新卒でブライダル業界に就職し、ウエディングプランナーとして400組ほどの結婚式を担当し、チーフプロデューサーを務めました。その後、パーソルキャリア株式会社に転職して営業職の方を専門に担当するキャリアアドバイザーとして転職をサポートしています。
【メッセージ】
人はそれぞれ「志向性」「強み」「日々大切にしたいこと」などが千差万別です。その方に合った仕事や、強みが発揮できる仕事に就くだけで、毎日を楽しく過ごすことができたり今までは想像もできないくらい視野が開けたり、人生の見方が変わることもあります。私はキャリアアドバイザーとして、少しでも多くの方が、自分に合った仕事に就くことができ、日々の満足度や幸福度が少しでも上がるお手伝いができたら、と思いながら日々業務に邁進しております。転職活動は自分のことも知ることができる、とても貴重な体験です。ご興味があればぜひご相談ください。
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